SIerで働いていた文系インフラSEが仕事について語ります

フリーランス

早速ですが皆さんは「インフラエンジニア」って職業をご存知ですか?タイトルにあるように、インフラSEと呼んだりもします。

ネット上ではWEB系インフラエンジニアの話が多く、「インフラエンジニアはオワコン」だとか「AWS等のクラウドのスキルが無ければ使えない」とか色々言われていますが、社内インフラを構築・保守するエンジニアの話はそこまで多くないんじゃないかと思い、記事にして皆さんに紹介しようと思いました。

仕事内容だったり、フリーランスとしてのインフラエンジニアについて語ります。

筆者のプロフィール

私は文系の4年制大学を卒業後、新卒でとある中堅SIer(そんな大きくないけど上場企業)に入社しました。そこで6年余り働き、今はフリーランスエンジニアとして活動しています。

数人で回せる小・中規模の案件を担当することが多かったため、要件定義・見積〜設計〜構築〜テスト〜保守まで、SEがやることは大体やってきました。

また忙しくて自分のキャパを越えそうな時は仕事を外注し、その管理も行なっていました。

以下が私の扱える大まかな範囲です。LinuxとかAWSは全然分かりません笑

Windows Server(ActiveDirectory等の役割やパッケージの構築含む)
Windows PC(マスター作成・展開等)
Microsoft365(旧Office365)
MDM(iPadの大量配布・管理)
NW機器(無線AP、L3、L2、ルーター、FW、LB)
仮装基盤(vSphere、Hyper-V)

よく

「理系じゃないとSEになれないんじゃないか?」

とか

「専門学校等で特別なスキルを習得する必要があるんじゃないか?」

と言われることがありますが、インフラエンジニアに一番必要なのは論理的思考能力であり、よほど大手じゃない限り学生時代に専門的な知識が問われる事はないでしょう。実際、私の同期は文系大卒:情報系専門学校卒:理系大卒=7:2:1くらいの比率でした。

理系じゃなくてもいい理由は次のパートで説明しますね。

インフラエンジニア(社内インフラ構築)の仕事

インフラエンジニアの「インフラ」は「インフラストラクチャー」を指します。「インフラストラクチャー」という言葉は一般的に社会基盤として説明されることが多いです。例えば道路とか水道、あと病院がインフラにあたります。一方で車や飲料水、注射器なんかはインフラとは呼びません。

これをITに当て嵌めると、ITにおけるインフラとは以下のようなものを指します。

サーバ
ネットワーク
クライアント(PCやスマホ)

一方でサーバーの上で動いているWEBサイトやZoom等のソフト・アプリはインフラではありません。

こういったITインフラを整える仕事を担っているのがインフラエンジニアです。

SEというとプログラミングをしているイメージがあるかもしれませんが、それはプラグラマーの仕事です。インフラエンジニアはプログラマーが作った製品(Windows・Linux等)を設定・導入し、それを維持・管理する仕事となります。

学校や会社で以下のようなシステムが入っていないでしょうか?それらはインフラエンジニア(もしくは社内情シス)によって導入されています。

  • 色々な制限のかかったPC(設定変更できない・再起動したらリセットされる等)
  • ファイル共有するためのファイルサーバー
  • 無線LAN
  • どのPCにも同じIDでログインできる仕組み(ActiveDirectory)
  • 電子メール

これらのシステムはどれも一から作っているのではなく、既に製品が存在しており、環境や客の要望に合わせてインフラエンジニアが調整をして導入を行います。

作られた製品をどう使うか設計し、設定をしていく作業なので、業務の多くの時間を製品のマニュアルを読んだりネット上の情報を調べることに割きます。そうしてインプットした情報を元に頭の中で整理して設計に反映させていく仕事なので、理系である必要がないのです。

WEB系インフラと社内インフラ構築の違い

また同じインフラエンジニアであっても、業種によってやる仕事が変わってきます。

WEB系インフラエンジニア
→開発した自社サービス(WEBサイトやアプリ等)を稼働させるための基盤を構築する。主にサーバーやネットワークの設計を行い、たくさんのアクセスがあっても安定稼働するように構築する。

社内インフラエンジニア
→社員向けのICTサービスを構築する。ファイルサーバーの構築や無線LANネットワークの構築、社員が利用するPCの設定等、いわゆる”情シス”の業務範囲が担当となる。

社内インフラはオフィスインフラとかOAインフラといった呼ばれ方をすることもあります。

どっちがいいの?

WEB系も社内インフラも一長一短があり、どちらが良いかは一概には言えません。

社内インフラ目線で比較して見ると以下のようなメリット・デメリットがあります。

給料が高い
→WEB系より社内インフラ(SIer)の方が給料は高い傾向にある
安定性がある
→コロナ禍であっても社内インフラの仕事は増えている

つまらない
→社内インフラ業務は保守的で何かにチャレンジするような風土が比較的ない
フリーランスになった時に案件が少ない・安い
常に客という上の立場がいるので、精神的に辛い
→WEB系は自社のために働くので上下関係がない
業務時間が多くなりがち
→SIerの業務は明確に納期が決まっているので、それに合わせて残業が多くなりがち

フリーランスになって

今は会社員を辞めてフリーランスエンジニアとして活動しています。正直、社内インフラ構築案件はそこまで多くないです。

数が多くないだけでなく、単価もプログラマーと比べて安い印象です。

私もフリーランスの活動を始めて何件か案件のオファーをいただきましたが、私のスキルセットだと75〜80万円/月(税込)くらいかなといった印象です。※英語を武器にすればもうちょっと伸びそうですが、会話ができないので、、、

なおこれは東京での価格です。名古屋だとそこまで大きく単価が変わる感じはしませんが、大阪だと-15〜20万円、その他の都市だとそこから更に5〜10万円下がる印象です。

あと、会社員時代は未経験のことにたくさんチャレンジできましたが、フリーランスになると経験済みの業務を求められるため、新しいことにあまりチャレンジできません。新しいことができるようにならないと単価は増えていかないばかりか、逆に下がっていってしまうと思います。先を見据えて人生設計をしながら案件を選ばないと詰んじゃいそうで少し不安です。

ただ社員時代みたいに残業することはあまりないので、そこはフリーランスになって良かったなと思います。

FAQ

だいたい仕事内容やフリーランスの現状を説明できたと思うので、ネットとかで書かれている疑問について私なりに答えていきます。

インフラエンジニアはオワコンなの?

冒頭でも書きましたが、インフラエンジニアはオワコンと言われる事があります。AWS等のクラウドサービスが台頭したため、特別な知識がなくてもWEBサイトを公開するためのサーバーやネットワークを構築できるようになったからです。

でもそれはWEB系に限った話です。

確かに、WEBサーバーを公開するだけであればプログラマーが兼任できるような時代になりました。

でも、例え全てのサーバがクラウドベースになったとしても、そこにアクセスするための端末やネットワークは誰が設定するのでしょうか?またサーバーをクラウドに上げたとしても、その中で動くサービスを構築・管理するには依然として経験・知識が必要になります。

社内向けのインフラインエンジニアの仕事がなくなることはまずないでしょう。

インフラエンジニアってきついの?

体力的にも精神的にもきついです。以下、きつい理由を挙げます。

・昼間に作業できないことが多く、普通に夜間作業や休日作業がある。
・インフラは100%動いて当たり前で、怒られることはあってもあまり感謝されない傾向にある。
・納期に間に合わせる必要があるので残業しがち。
・製品がうまく動かない等のトラブルが発生すると業務時間が大きく増えることがある。

これはインフラエンジニア全員に当てはまる訳ではないですが、私の場合はSIerの社員として予算を持っていたため利益を上げる必要がありました。そのため、複数の案件を掛け持って売上を伸ばすということをしていたので、かなり残業は多かったです。大規模プロジェクトだと1つのプロジェクトに専念することになると思うので、これはケースバイケースですね。

あと、意外と大変でスケジュールが読みにくいのがクライアントPCの構築で、MSのせいでしょっちゅうOSの仕様が変わるし、sysprepという半ばギャンブルに近い不確定要素があるので、ハマると無茶苦茶大変です。

ただ最近はどの会社も働き方改革によってホワイトになっている印象で、お客さんも無理を言ってこないようになったかなと思います。

クラウドの経験がないとダメなの?

現時点では「あった方が武器になる」という感じです。WEBサービスはクラウド利用が殆どだと思いますが、社内システムは今でもオンプレミスが多いです。

女性でもなれますか?

女性でもなれますけど、数はすごい少ないです。男女の比率は9:1くらいという印象です。体力的にきついし、ワークライフバランスもあまり良くないので皆さん結婚とともに退職していってしまう印象があります。

ただし、裏を返すと女性のインフラエンジニアはレアなのでお客さんに気に入られがちです。

インフラエンジニア(社内インフラ構築)って結局どうなの?

で、結局この仕事ってどうなの?という話なのですが、正直体力的、精神的にもキツいし何度もこの仕事を辞めたいと思いました。でも今後も需要は伸びていく仕事ですし、仕事に困ることはない職種です。文系未経験でもなれますし、安定してそこそこの収入が欲しいなら良い仕事かもしれません。逆にたくさん稼ぎたい人は、少し収入が少なくてもプログラマーとして社員になり、スキルを磨いてからフリーランスとして独立するのが良いと思います。

最後に

今後もインフラエンジニアの情報を発信できればと思うので、ブログやTwitterをチェックいただけると嬉しいです。

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