ボリビアのラパスにある標高6088mの山「ワイナポトシ」。
私は訳あってこの山に2度挑戦したので、その時の感想やアドバイスをまとめます。
1回目
登頂前
まぁ2回挑戦したという事で1回目は失敗したのがバレバレですが笑
まず最初にワイナポトシに挑戦したのが2023年の1月末。この時期は雨季なので、本当はワイナポトシ登頂にはあまり向いているシーズンではありません。
ただし調べてみると雨季に登頂成功している人も全然いたので、私はSouth Treksというツアー会社で2泊3日の行程で申し込みました。
なぜこの会社を選んだかというと、山頂アタック前に宿泊するハイキャンプの位置が他の旅行会社よりも高いという事前情報を掴んでいたため。アタック時の負担を少しでも軽くし、登頂確率を上げようと思った訳です。
1日目
さて、ツアー会社にお金を払って翌日。1日目の始まりです。
まずはツアーオフィスに行き、レンタル用品のサイズ合わせを行います。
私が借りたのは
・プラスティックブーツ
・アイゼン(クランポン)
・ハーネス
・ピッケル
・アウター上下
・フリース上下
・寝袋
・グローブ(ただし薄手の手袋を別途用意する必要あり)
・ネックウォーマー兼フェイスマスク
確かこんか感じ。
他にバックパック、ヘッドライト、トレッキングポールが借りられますが、バックパック、ヘッドライトは自前のものを使い、トレッキングポールは借りませんでした。
South Treksの装備はちょいボロい😅
サイズ合わせの際に不具合(ブーツの留金が少ないとか)があったらどんどん言って他のものに変えてもらいましょう。
あと私が受け取った寝袋が巨大過ぎてパッキングにメチャクチャ苦労しました。
パッキングが終わったらツアー会社のオフィスに不要な荷物を預けて車でベースキャンプに向けて出発します。
途中でTiendaに寄ってくれるので、買い忘れた行動食やヘッドライト用の電池があればココで買えます。
ベースキャンプ(4800m)に着くと昼食を食べた後にピッケルやアイゼンの練習に行きます。

実はSouth Treksからは私1人しか客がいなかったのですが、ここで別の有名な会社Jiwakiの客3人と合流し、氷河の上を歩いたり氷壁を登る練習をしました。

この氷の壁を登るのが中々キツく、私含めて4人中3人が失敗しました。
時間がかかるほど腕の筋力と握力を消耗してしまい、「もう無理!」って感じでした笑
これが終わるとベースキャンプに戻ります。South TreksとJiwakiの山小屋は違うので、私は山小屋を独り占め。
特にやる事もないので、持ち込んだiPadでドラマとか見てました。夜は夕食を食べて寝るだけです。

ここが寝る場所で、マットレスを自分でひいてその上で寝袋を広げて寝ました。
2日目
朝。起きるとベースキャンプは一面真っ白!

もちろん事前に天気予報は見ていて、1日目、2日目は雪の可能性があっても、3日目の山頂アタック時は晴れるとの予報だったので、この時は「まぁでも行けるっしょ」と思ってました。この時は。
しかしガイドが「雪が多すぎて多分登頂は無理だ。ラパスに戻る?」と言ってきます。
素人なので、この時は「やってみないと分かんないじゃん?」という気持ちをガイドに伝え、ハイキャンプへの移動に向けて準備します。
本来であればハイキャンプへの移動は普通の装備で行くのですが、この時は雪のせいでいきなりプラスティックブーツ+ピッケル装備。プラスチックブーツは歩きにくいので中々大変、、、
それでもなんとかハイキャンプ(5300m)に辿り着きます。この時は一面雪で気が付きませんでしたが、やはりこの山小屋は他の山小屋に比べて高い位置にあり、山頂アタックが始まる氷河に1番違い位置なので、South Treksを選んだのはなかなか悪くなかったと思います。

ここにはネズミが住み着いています笑
日光を取り込む構造になっているので、昼間はベースキャンプよりも暖かいです。
この時までてっきり私1人で登頂を目指すのかと思っていましたが、この後イタリア人男性とスペイン人女性の2人(+追加ガイド1人)が1泊2日組としてやってきます。
3人で食事をとり、ガイドから翌日の説明(雪のせいで登頂は無理だけど、行けるとこまで行こうという話も、、、)を聞いて18時ごろに寝ます。ここで寝れない人が多いのですが、私は疲れていたためか熟睡する事ができました。
3日目
0:00。起床して登頂の準備を始めます。
0:30。山小屋を出て登頂を開始します。天気予報通り雪は降っていません。が、積もっている雪が深く、なかなか前に進むことができません。
1日目に一緒だったJiwakiの3人も登っていますが、彼らも「登頂不可」とガイドから言われており、モチベーションは低め。体力的にはまだまだいけそうな筈なのに、かなり手前で諦めてハイキャンプに戻っていきました。
私達はというと、クレバスを2回乗り越えたり、小さな雪の壁を登りつつなんとか5700mまで到着。この時点で5:30だったのですが、登頂のタイムリミットは7:00。しかも雪をかき分けていく先頭のガイドの体力消耗が激しく、ちょっと登っては休憩の繰り返しでどんどん体が寒くなっていきます。
加えて、私のヘッドライトでバッテリー切れが発生。新品の乾電池に交換後もバッテリー切れが再発するという謎現象に遭遇し、心が折れた私は下山を決意しました。
という事で、ガイドのいう通りその日は誰も登頂できず。失意のうちにラパスを去りました。
2回目
登頂前
2回目にトライしたのが4月の初め。そろそろ雨季も終わるかな?って感じの頃です。
1回目の教訓をもとに、山頂アタックの日だけでなく1,2日前の天気予報Windyというアプリとmountain-forecast.comで確認します。
「今度こそ行ける!」
天気予報を見て確認した私は再度South Treksで申し込みます。既に1日目のトレーニングは経験済みなので、今度は1泊2日で挑戦です。
ちなみに、初回であれば思い出作りのためにも2泊3日をオススメします。何故なら1泊2日だからと言って料金が大幅に安くなる訳ではないので。(うろ覚えですが、確か3日で900ボリ、2日で750〜800ボリくらい)
また前回は(ツアー会社に何も言われなかったので)自前の55リットルのバックパックしか持っていきませんでしたが、今度は山頂アタック用に小さなバッグを購入。
現地のラパスで150ボリ(3000円)くらいで買いました。ラパスには欧米アウトドアブランドの偽物が多く売られているようですが、これは中国ブランドなので安心して買えました笑
あと、今度はヘッドライトをレンタルし、代わりに寝袋は自前のダウンハガー800 #5とコクーンのトラベルシーツを持って行きました。
ヘッドライトは、前回自前で用意したヘッドライトが急速に電池を消耗する事が分かったためで、寝袋は前に借りたのが大きすぎてしんどかったためです。
「5300mでダウンハガー#5なんかでイケるの?」と思う方もいるかもしれませんが、少なくともSouth Treksで使うハイキャンプは室内が暖かいので、コクーンのトラベルシーツで温度を足す事で問題はありませんでした。
1日目
ほぼ前回と同じなので大まかな内容は割愛。
今回違ったのはイギリス人4人とフランス人2人が一緒だった事。でも彼らは2泊3日組なので一緒に登りませんでした。
代わりに、既にベースキャンプにいたイスラエル人2人と合流。ハイキャンプまで一緒に移動します。
今回はハイキャンプまで普通のトレッキングシューズで行けたのでそこそこ楽でした。
このまま3人で登るのかなと思ってたら、オーストラリア育ちだけど日本国籍を持ってるという男性とドイツ人のおじさんが追加でハイキャンプにやってきました。彼らのジャケットにINCAと書いてあったので、恐らくINCA LAND TOURSかなと思います。
そして前回同様18時ごろから寝るのですが、、、ハイキャンプ到着後ベッドでうたた寝をしてしまったせいか、今回はあまり寝る事ができないまま0:00を迎える事に。
2日目
今回は5人もいたという事で準備に時間がかかり、登山開始が1:00前に。しかも自分はドイツ人のおじさんと組むことに。
「時間内に登れるのかな?」という不安がよぎりながらも一歩一歩山を登っていきます。
前回通った箇所も順調に超えていくのですが、、、なんと前回あったクレバスジャンプと小さな氷の壁はありませんでした。通っている場所は同じなので、天候や季節によって地形が変わるのだと思います。
そのまま1回目の最高地点である5700mも超えて私たちのグループ(イスラエル人、オーストラリア育ちの日本人含む)は1番手を快走状態。しかしこれが逆に仇となり、むしろ早すぎて日の出前に山頂に到着してしまうという話に。
ここから色んなところで休憩を取って時間を潰そうとしますが、、、動いてないととても寒い、、、下山する時に分かったのですが、休憩のために斜面は急だけど風を凌げる別ルートで登っていたようです。すごい急な斜面で休憩させられて結構怖かった、、、
しかし努力の甲斐も虚しく、5:45ごろに山頂に到着。
普通は寒さのために山頂には15分くらいしかいないのですが、私たちはまだ暗すぎたのと、幸い後続がいなかったため30分くらい山頂で粘った後に下山しました。
いやぁ、まさか人生のうちに6000mを超える山に登るだなんて考えもしてなかったので、なかなか感慨深かったです。ただキツかったので3回目はもういいかな😅
振り返り
ということで、2回の挑戦を通して感じたアドバイスや知見をまとめてみます。
ダイアモクス
ワイナポトシは「天候」「高山病対策」「十分な体力と気力」さえ整えば誰でも?登れると言われています。
その中でも特にワイナポトシで重要になってくるのが高山病対策。私は1回目、2回目ともに高山病対策用の薬であるダイアモクスを服用して挑みました。結果、高山病の症状が出ることはありませんでした。
山頂アタック用ザック
コレは本当に用意しておいた方が良いです。大きなバックパックでも登れるとは思いますが、アタック用ザックを使えば背負う重量が大幅に減るので、気持ち的にも物理的にも楽になります。
天気予報
山頂アタック時の天気だけでなく、その数日前の天気にも注意しましょう。
氷の壁
他の人のブログを見ると、山頂直前に大きな氷の壁があるという話がありました。氷の壁にせよクレバスにせよ、その時の状況によって地形に変化が生じるため、絶対にある訳ではありません。私は腕の力が弱いため氷の壁にビビっていましたが、蓋を開けたら何も無くてホッとしました。
最後に
6000mの山に登る機会なんてなかなか無いと思うので、ボリビアに来たら是非挑戦してみてください!しんどいけど達成感はすごいです!
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